これからの介護食
②エンジョイニーズの実態&開発のヒント
介護に携わる方々の声から真のニーズをとらえ、具体的な解決策を探る連載企画。これまでの記事 で介護食では3つのニーズ「おいしさニーズ」「エンジョイニーズ」「みんなと食べるニーズ」があるとお伝えしてきました。連載4回目となる今回は、 エンジョイニーズについて、ミヨシ油脂が実施したアンケート結果をもとに詳しく解説。さらに、新たな介護食レシピをご提案します。
■好きなものを食べたい=エンジョイニーズ
在宅で介護をしている1,024名に“もし自分が”「介護食を食べるとしたら重視すること」を聞いたところ、約25%が「好きなものを食べること」を選びました。
■ 介護する側が食事を用意するうえで大切にしていること
また、要介助・介護者の食事を手作りしていると答えた848名に「手作りしてよかったと感じること」を聞いたところ、約47%が「介助・介護が必要な方の好みを反映できる」を選びました。
さらに「手作りをするうえで工夫していること」という質問では、「季節感のある献立にする」「食欲が湧くものを提供する」「盛り付けを工夫する」といった回答が多く見られました。食べやすさ、飲み込みやすさだけでなく、味や香り、見た目に工夫している人は多いようです。
しかし、当然ながら手作りは手間や時間がかかります。実際、同じ848名に「手作りの悩み」を聞いたところ、約35%が「調理に手間や時間がかかる」を選びました。「献立がワンパターン」と回答した人が約34%と多いのも注目したいポイントです。
〇調査概要
■ 調査対象:30歳以上の男女。未既婚問わず、同居している身内に介助・介護が必要な人がいて、自身が介助・介護に関わっている方
■ 調査方法:インターネット調査
■ 調査期間:2022年5月23日~5月30日
■ 有効回答数:1,024
前回の記事で紹介した通り、市販の介護食は「調理の手間や時間を短縮できる」のが魅力。その一方で、市販介護食に対する要望は「品ぞろえを豊富にしてほしい」が最も多かったのが実情です(プロローグ参照)。つまり、現状の市販介護食は好きなものを食べたい、食事を楽しみたいというエンジョイニーズに十分に応えられていない可能性があります。もしエンジョイニーズを満たす商品を提供できれば、そこには大きなチャンスがあるはずです。
嚥下(えんげ)食フレンチ「スラージュ」を提供しているMaison HANZOYAの加藤英二シェフも「要介護者が食べられるもの=楽しくない、と言う認識があるのではないか」と指摘します。「例えば、肉じゃがのペースト食が介護食として市販されているが、ペーストした時点でそれは肉じゃがではなくなってしまう。要介護者が本来楽しみたいものではない」ということです。
■ 要介護者が楽しみたい、楽しめる介護食とは
調理の手間や時間を短縮しつつ、エンジョイニーズを満たす介護食とはどのようなものか。その具体的なヒントとなるように、ミヨシ油脂では見た目が華やかで、色合いや風味から季節を楽しめるスイーツのレシピを考案しました。
●エンジョイニーズを満たすやわらかレシピ
やわらか水ようかん
カラフルな3層のやわらか水ようかんです。
「マジックファット200」を使用することによって、舌触りのよいなめらかな食感になります。3層すべてやわらかい食感でありながら、まとまりのある食感になっています。目で見ても、食べても楽しい、どの年代の方にも喜んでいただける一品です。
●レシピに使用した製品とその効果
パーム油を原料とした、汎用性粉末油脂。
介護食に使用することで、食感改良、カロリー付与の効果が期待できます。
やわらか水ようかんに粉末油脂を添加することで、やわらかく、べたつきが抑えられ、口の中でまとまりやすくなります。
UDF試験方法に従って物性測定すると、このケースでは区分「舌でつぶせる」の物性値の範囲とすることができました。
※分析結果の一例です。
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