動物性油脂のおいしさを、
プラントベースで創りだす。
「botanova」の採用事例とレシピを
発信する場です。

コクと油の知られざる関係

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人はなぜおいしいと感じるの?「おいしい」は数値化できるの?といったbotanovaブランドを語るためには欠かせないおいしさについてbotanova開発者にインタビューしました。

植物由来の素材だけで作られたプラントベース油脂である「botanova」(ボタノバ)。
日本もプラントベースの認知が少しずつ広まってきている中、2020年の発売以降、採用事例も増えてきました。今回は、「botanova」のおいしさの秘密にせまるべく、開発者に語ってもらいます。
最初に、ミヨシ油脂が考える「おいしさ」とは何かというテーマで、botanovaの開発を担当し、現在は海外事業開発を担当している富田佑輔・食品本部海外開発部係長に、話を聞きました。

食品本部海外開発部:富田佑輔

私たちはなぜおいしいと感じるのか

私たちが食べ物を食べて、おいしいと感じるのはなぜなのでしょうか?「その要素として、味、香り、食感などはすぐに思いつきますよね」と富田係長。
しかし、それだけではありません。食べ物の見栄えや温度、食べる場所の雰囲気、またその時の気分など多くの要素がおいしさに関係するといいます。そしてもう一つ、重要な要素を富田係長は指摘します。

「それは、これまでの『食経験』です。例えば、私たち日本人は、小さい頃から和食をよく食べていますから、出汁や醤油の味などにホッとするようなおいしさを感じます。しかし、アメリカ人の場合はどうでしょうか?味噌汁を出しても、薄味で何の味か分からないかもしれません。納豆なんてとても臭くて食べられないという人もいるでしょう。こういった食経験が、それぞれの人の『おいしさ』に大きな影響を及ぼしているのです」

「おいしい」を数値化する限界

このように、何をおいしいと感じるかは人によってさまざまで、絶対的な定義はできません。それでも、なんとかおいしさを可視化することはできないのでしょうか。実は、おいしさを数値化する方法は、いくつか存在します。その一つが、味覚センサーやにおいセンサーなどの機器で計測する方法です。これらのデータを、ある一定の基準として参考にすることもあります。また、訓練を受けた調査員の五感を頼りにおこなう「官能評価」も、おいしさを判断する手段としてよく実施されるものです。

「ただ、おいしさの要素が数多くある中で、においや味などに限定された機器の計測データをどう解釈するかは、非常に難しいところです。そのため、これらのデータは参考にはなるのですが、数値が良かったからおいしいと簡単に判断することはできません。総合的に考えると、おいしさを開発するためには、やはり人の味覚や嗅覚、そして感性がとても大切になってくるのです」

コクと油の密接な関係

味を評価する上でよく使われる言葉に「コクがある」というものがあります。「コクがあっておいしくない」とはあまり言わないので、おいしさを表現する言葉だと言えるでしょう。では、この「コクがある」とは、いったいどのような状況を指すのでしょうか。コクについての研究で知られる、女子栄養大学の西村敏英教授は、コクを次のように定義しています。

[コクの定義] 味、香り、食感の3つの感覚刺激に関して、より多くの刺激が与えられた結果、複雑さ、口の中での広がり、持続性を感じたときに認識できる現象である。(『食品のコクとは何か おいしさを引き出すコクの科学』 西村敏英・黒田素央 編 株式会社恒星社厚生閣発行 より引用)

「コクのあるカレー」とは言いますが、「コクのあるりんご」とは言いません。これは、その味や香りの複雑さや持続性に差があるからと考えられます。この香りの持続性を、ミヨシ油脂の専門分野である油脂を使って引き出そうと考えて生まれたのがbotanovaなのです。

「実は、香り成分は油によく溶ける性質を持っています。口に入れたその瞬間は、食品の持つ素材からの味や香りが出てきますが、その後は、食品の中に含まれる油から徐々に香りが感じられることにより、香りの持続性が増すのです。つまり、油とコクの間には密接な関係があるということになります」

物質には、水に溶けやすいものと油に溶けやすいものがあり、水に溶けやすい性質を「親水性」、油に溶けやすい性質を「親油性」と言います。例えば、塩や砂糖などの調味料は親水性で水に溶けやすく、多くの香り成分は親油性で油に溶け込みやすい性質があります。

プラントベースで作られる代替肉には、水と油の両方が含まれていますが、咀嚼すると、先に水の部分である調味液が組織から抜けていき徐々に風味が薄くなっていきます。一方、代替肉の組織に分散した油脂は咀嚼中も比較的残留しやすく、香りを少しずつ放出し続けるので、最後までおいしく食べられるという仕組みです。botanovaが液状の油ではなく固形脂である理由もここにあります。

油脂にこだわって、代替肉をさらにおいしく

当初、日本ではほとんど市場がないプラントベース向けの商品を開発することに対して、社内では疑問の声もあったといいます。しかし、アメリカではすでにプラントベースが盛り上がりを見せつつあったため、ミヨシ油脂の経営陣と開発スタッフは現地に出向き、市場調査を実施しました。代替肉を大量に買い込み、その原材料を調べてみたところ、豆腐エキスやオニオン、さまざまな香辛料や香料などが使われており、かなり工夫されていました。

「ただ、使われていた植物性油脂が、なたね油やひまわり油など、ごくごく一般的なものでした。ここで我々の持つ油脂加工技術を使って、プラントベース素材で動物性油脂の味を再現できれば、大きなチャンスになるのではないかと考えたのです」

こうして、試行錯誤を繰り返し、長い開発期間を経て、2020年9月に「botanova 植物のおいしさ バター風味」(以下、バター風味)と「botanova 植物のおいしさ ラード風味」(以下、ラード風味)が発売され、さらには、2021年12月に「botanova 植物のおいしさ 牛脂風味」(以下、牛脂風味)が発売されます。今では、日本でも代替肉への注目度は高まってきており、食品の展示会に行くと、プラントベースのブースに人だかりができるほどのにぎわいを見せるようになりました。

みんなを笑顔に。コミュニケーションがおいしさを作り出す

ミヨシ油脂がおいしさを作る上で大切にしていることは、食品メーカーや外食産業の皆様とのコミュニケーションだと富田係長は語ります。

「プラントベース食品は、まだまだ黎明期にあるため、多くの食品開発者の皆様は、試行錯誤している段階です。botanovaを使うだけでも、しっかりとおいしいものが作れることにこだわって設計していますが、そこにプラスアルファして、独自の風味を出してもらうことももちろんできます。その自由度がbotanovaの魅力でもあるのです。その際に、どんなお困りごとがあるのか、しっかりコミュニケーションをとりながら、調味料や香辛料、botanovaの配合などを調整してもらっています」

富田係長はbotanovaのストライクゾーンは広いと言います。botanovaには3つの風味がありますが、「バター風味」と「ラード風味」、「ラード風味」と「牛脂風味」など、2つの風味を組み合わせることで、その味わいの幅はさらに広がります。botanovaをベースに、いろいろな可能性をぜひ試していただきたいです。

お問い合わせ・ご相談

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