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プラントベース食品を実食した感想は?消費者が今後期待すること
~プラントベース食品に関する消費者調査(3)~性別(男女)・世代別の「実食体験・期待すること」編

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2022年1月20日に弊社が公表した消費者調査『プラントベース食品に関する消費者調査を実施 消費者の40%が「味の改良に期待」〜認知度は70%超えるも味に課題 実食率の高い代替肉には辛口評価~』。
本記事は、この消費者調査を「認知度」「消費者イメージ」「実食体験」「期待すること」という切り口でさらに深掘りする連載です。
最終回の今回は、「実食体験」について、食品ごとに性別・年代別で深掘りしてご紹介し、さらに「期待すること」を分析します。ぜひ商品の企画・開発にお役立てください。

調査概要

調査対象全国の20~79歳の消費者
回答者属性男性:女性=48.3:50.6(その他1.1)、未既婚問わず
調査方法インターネット調査
調査期間2021年11月15日~2021年11月17日
有効回答数2155

今回はプラントベース食品(動物性原料ではなく、植物由来の原材料を使用した食品 例:大豆ミート)に関する消費者調査のうち、「消費者の実食体験の有無」、「食べたことがあるプラントベース食品の評価」、「今後プラントベース食品に期待すること」の3項目をそれぞれ分析しました。

1.【実食体験の有無】43.7%がプラントベース食品の実食体験あり

まずは実食体験の有無に関する結果を見ていきましょう。消費者アンケートでは食べたことがあるプラントベース食品について、「代替肉(大豆ミート・グルテンミートなどを使った食品)」「代替魚(植物性ツナなど)」「植物性ミルク(豆乳・オーツミルクなど)」「植物性チーズ」「植物性アイス」「植物性麺」「代替卵」「植物性の調味料」「プラントベースのパン・菓子」「その他プラントベース食品」「食べたことがない」の11項目を提示し回答を求めました。アンケートの結果、何らかのプラントベース食品を食べたことがある人は43.7%、食べたことがない人は56.3%でした。一定の実食体験は認められるものの、体験のない人は半数以上に上るため、より多くの人にプラントベース食品に触れてもらえるよう改善が求められることが分かりました。

プラントベース食品に関する調査

◆性別×年代の分析
(※一部の文章・表では、「植物性」「プラントベース」を省略していますが、ここでご紹介する食品は全てプラントベースのものを指しています。)

食べたことがある食品を比べると、60代男性、70代女性を除いた全ての性別・年代で「代替肉」、「植物性ミルク」の順に実食体験が多いことが分かります。一方で、これら2食品以外の実食体験を分析すると、食べたことがある食品の内訳は性別・年代によってばらつきがありました。

まずは男性の回答を見てみましょう。20代男性は「代替魚」、30~40、60代男性は「調味料」や「パン・菓子」、50、70代男性は「麺」の実食体験が3番目に多い結果となりました。

次に女性の回答を見ると、20~30代女性は「アイス」、40~50代女性は「パン・菓子」、60~70代女性は「調味料」の実食体験が3番目に多い結果となりました。

このように、性別・年代ごとに食べたことのある食品に違いがあることが分かりました。実際に食べられている食品を意識することで、消費者のニーズに合った商品の開発・プロモーションが可能になります。

プラントベース食品に関する調査

2.【認知度×実食体験】認知度と実食体験にギャップ。約60%は実食体験なし

次に、第1回の記事でご紹介した「消費者のプラントベース食品に対する認知度」と「実食体験」の調査結果をクロス集計しました。プラントベース食品について「聞いたことがある」と回答した人のうち、61.4%はプラントベース食品の実食体験がなく、認知度と実食体験にはギャップがあることが分かりました。プラントベース食品の認知度だけでなく、実食機会を増やすための工夫が必要です。

プラントベース食品に関する調査

3.【食品ごとの評価】おいしさ・風味・食感は高評価。満足感の評価は性別や年代でばらつきあり

消費者アンケートでは、プラントベース食品を食べた感想を「おいしかった」「おいしくなかった」「満足感があった」「物足りなかった」「味が濃かった」「味が薄かった」「風味や食感に違和感がなかった」「風味や食感に違和感があった」「その他」の9項目を提示し評価を求めました。

まずは全ての食品で見られる傾向を見てみましょう。9項目のうち、「おいしかった」と回答した人が最も多く、さらに「風味や食感に違和感がなかった」と回答した人が、「風味や食感に違和感があった」と回答した人よりも多い結果となりました。プラントベース食品のおいしさや風味、食感への評価は総じて高いことが分かります。

では、食品ごとの評価はどうなっているでしょうか。今回は実食体験の多かった「代替肉」「植物性ミルク」について詳しくご紹介します。

①代替肉
◆概要
代替肉に対して「おいしかった」と回答した人は48.2%と半数に近くに上りました。さらに、「食感・風味に違和感がなかった」と回答した人は「風味や食感に違和感があった」と回答した人よりも9.9ポイント高く、風味・食感についてもポジティブな印象を持っている人が多いと分かりました。

プラントベース食品に関する調査

◆性別×年代の分析
性別・年代ごとに評価を比較してみましょう。今回は9項目のうち、評価にばらつきのあった「満足感があった」「物足りなかった」と答えた人の割合をまとめました。まず、回答者の割合を比較すると、どちらの項目も男性のほうが比較的回答者の割合が高く、男性が満足感の有無を重要視していることが分かります。中でも20、50代男性の回答を見ると、どちらの年代も9項目のうち「物足りなかった」と回答した人が2番目に多く(20代:24.0%、50代:24.1%)、より食べ応えのある代替肉が求められていることが分かりました。

プラントベース食品に関する調査

②植物性ミルク
◆概要
植物性ミルクに対して「おいしかった」と回答した人は57.5%で、全ての食品の中で回答者の割合が最も高かったです。風味・食感についても、「食感・風味に違和感がなかった」と回答した人は「風味や食感に違和感があった」と回答した人よりも12.2ポイント高く、好意的な評価が見られました。

プラントベース食品に関する調査

◆性別×年代の分析
性別・年代ごとに評価を比較してみましょう。「代替肉」と同様に、9項目のうち「満足感があった」「物足りなかった」と答えた人の割合をまとめました。全ての性別・年代で「満足感があった」と回答した人が、「物足りなかった」と回答した人よりも多かったです。一方で、「物足りなかった」と回答した割合は、男性のほうが多く、男性の満足感に課題があることが分かります。さらに男性の回答を世代ごとに見ていくと、20~30代の若年層は「物足りなかった」と回答している人が0%であるのに対して、40~70代男性は10%以上が「物足りなかった」と回答しています。40代以降の男性も満足できるよう、食べ応えのある植物性ミルクの開発が求められます。

プラントベース食品に関する調査

4.【期待すること】低価格化へ高い期待。高齢層は安全性を求める傾向

◆概要
ここまでプラントベース食品に対する消費者の評価を詳しくご紹介しました。では、消費者はプラントベース食品に何を期待しているのでしょうか。消費者アンケートでは、プラントベース食品に今後期待することについて、「味の改良」「低価格化」「ブランド、品数の増加」「量販店やコンビニエンスストアなどで購入できる」「飲食店で食べられる」「オンライン通販サイトで購入できる」「安全性の確認」「分かりやすい機能性」「環境にやさしい」「その他」「特にない」の11項目を提示し回答を求めました。

最も回答者数が多かったのは「低価格化」(45.8%)で、次に「味の改良」(40.1%)、「安全性の確認」(34.2%)と続きました。

第2回の記事でプラントベース食品に対する消費者イメージをご紹介しましたが、全ての性別・年代で「価格が高そう」と回答した人が多く、「低価格化」への期待は消費者イメージを反映したものだと言えます。また、「味の改良」については、消費者イメージ・実食体験どちらの調査においても「物足りなさ」が課題であり、食べ応えのあるプラントベース食品の開発が求められています。

プラントベース食品に関する調査

◆性別×年代の分析
他の性別・年代との違いが目立ったのは30代女性の回答です。「量販店やコンビニエンスストアなどで購入できる」と回答した人(31.4%)と、「ブランド、品数の増加」と回答した人(26.1%)が多く、より手軽に、多様な場所でプラントベース食品を購入したいと考えていることが分かります。

また、高齢層からは安全性へ期待が寄せられました。「安全性の確認」と回答した人は、70代男性が44.4%、60代女性が42.1%、70代女性が47.3%でした。安全性については、消費者イメージの調査でも、60~70代女性はポジティブな印象を持っており、この期待に応えられるよう安全性を強調した商品開発やプロモーションが必要です。

プラントベース食品に関する調査

5.【総評と課題】まずは実食機会を増やす工夫を。物足りなさの改善と販路拡大に期待

プラントベース食品の実食体験はまだまだ少なく、消費者がプラントベース食品に触れる機会を増やすことが急がれます。認知度と実食体験にギャップがあることから、プラントベース食品に関する情報を発信するだけでなく、消費者が日常的に食べているものをプラントベース化したり、手軽に試す機会を提供したりといった工夫が必要です。

また、食品ごとの評価は全体的に高評価だったものの、「満足感」には課題が残り、物足りなさの改善が求められます。

最後に、消費者はプラントベース食品に対して、低価格化・味の改良・安全性に期待を寄せていることが分かりました。消費者の期待は、第2回記事で紹介した「消費者イメージ」とも関連しているため、データを横断的に見て、ニーズを的確に捉える必要があります。

6.【まとめ】若年層と男性のイメージ改善が課題。高齢層には積極的なアプローチを

本連載では、全3回にわたってプラントベース食品に関する消費者調査を深掘りしました。

第1回記事ではプラントベース食品の「認知度」について分析し、若年層および20、40代男性の認知度が低いことが分かりました。

第2回記事では「消費者イメージ」を分析し、若年女性が「味」に対してネガティブなイメージを持っていることや、男性が物足りなさを感じていることが分かりました。一方で、高齢層は「健康面」や「信頼性」、「味」に対してポジティブなイメージを持っているのが特徴的でした。

今回の記事でも、男性の「満足感」に対する評価は比較的低く、プラントベース食品の物足りなさの改善が必要だと分かりました。

既にポジティブな印象を持っている高齢層には、食品開発・プロモーションで積極的なアプローチを続けることが求められます。同時に、認知度や満足感に課題の残る若年層及び男性のイメージ改善も取り組むべき課題といえます。

消費者の評価やニーズを意識することで、より美味しいプラントベース食品をより魅力的にお届けすることができます。ぜひ商品開発やプロモーションの際には本連載をお役立てください。

プラントベース食品の企画開発に関するご相談を承っております

より詳しい調査結果や関連商品情報、カタログやサンプルなどをご提供可能です。いつでもお気軽にお問い合わせください。

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