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プラントベース食品の企画・開発 5つのメリット&デメリット

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プラントベース食品とは、植物由来の原材料を使って作った食品の総称です。近年、さまざまな観点から注目されており、日本の食品メーカーもプラントベースの新商品を続々と企画・開発し、販売しています。2021年8月、政府から食品表示ルールも明確化され、この動きは日本国内でもさらに加速していくでしょう。そこで、今回はプラントベース食品の企画・開発のメリットとデメリットをご紹介します。

【メリット①】食の選択肢を増やす(アレルギー/多様な思想・信条・ライフスタイル)

プラントベース化するメリットの一つ目は、「食の選択肢を増やす」ということです。動物性タンパク質や特定の原材料・食材を使わず食品を作ることができれば、食品アレルギーや多様な食文化やライフスタイルに対応した新製品が作れるようになります。

▼アレルギーへの対応が可能に

アレルギー疾患は、日本国内で増加傾向にあります。厚生労働省が平成28年に公表した『アレルギー疾患の現状等』(※1 9頁)によると、平成17年の調査で日本の全人口の約3人に1人は何らかのアレルギー疾患に罹患(りかん)しており、その6年後(平成23年)には全人口の約2人に1人という結果となり、近年急速に増加していることが指摘されています。中でも食物アレルギーは乳幼児に最も多く、乳児有病率は5~10%、学童期は1~2%にのぼります。

プラントベース化することで、このような食物アレルギーのうち卵や乳製品、肉類などの動物性食品によるアレルギーに対応した食品の企画・開発が可能になります。
なお、同じ製造設備で動物性原料を含む製品も製造している場合もあるので、アレルギー対応として製品企画・開発する場合は、製造工程全体を考慮する必要があります。

最近では、キッコーマン株式会社が実施しているベジタリアン・アレルギー対応の「ワン・ファミリー」プロジェクトが有名です。

▼多様な思想・信条・ライフスタイルへの対応が可能に

2021年時点の日本のベジタリアン率は5.1%といわれています(※2)。これを仮に、人口で計算すると、約640万人(125,502,000*0.051=6,400,602)もの規模に(※3)。
商品をプラントベース化することで、この約640万人へリーチできるようになります。

また、宗教上の理由で、食べていいもの・いけないものが厳密に定められている人にも、対応が可能になります。石川伸一『「食」の未来で何が起きているのか〜 「フードテック」のすごい世界』によると、イスラム教では、豚肉を口にすることは許されていませんが、植物由来の代替肉なら市場を開拓できるかもしれません。(※4-46頁

ただし、ベジタリアンやヴィーガン、各宗教により飲食可能な素材は異なることや、同じ製造設備で動物性原料を含む製品も製造している場合もあるので、製品企画・開発段階ではターゲットの生活様式と製造工程全体への配慮が必要です。

【メリット②】体の健康・心の充実感につながる

▼体の健康について

プラントベース食品は、健康上の理由で食べられる食材に制限がある人にとって食の選択肢を広げる方法のひとつです。
また、低脂質・低カロリー・低コレステロール、食物繊維が豊富なものも多いため、生活習慣病の予防や、ヘルシー志向の消費者にもポジティブな印象を与える商品開発が可能になります。

▼心の充実感について

メリット①でご紹介したとおり、プラントベース食品は、消費者の食の選択肢を広げます。
日本の場合、欧米と比べると現在ではまだ外食・中食・内食ともにまだ食の選択肢が豊富とはいえない状況ですが、プラントベース食品が増えれば、アレルギーや思想信条・食事制限がある人でも、家族や友人と同じ食卓を囲めるようになり、同じものを食べられる喜びが得られるようになります。
また、健康や環境への配慮を含め、自分の食事を自分の意思に基づいて選び取ることができる充実感も感じられるようになるのではないでしょうか。

【メリット③】環境負荷を軽減する(地球温暖化対策)

畜産が、地球環境に大きな影響を与えていることが一般的に知られるようになってきました。工業型畜産が引き起こす問題として、地球温暖化や森林伐採をはじめとした数多くの深刻な影響が懸念されています。

国連環境計画2018年の調べでは、人間の活動による世界の温室効果ガス排出量は、CO2(二酸化炭素)に換算すると過去最高の553億トンにのぼり、その約15%は家畜に関するものだという。なかでも環境負荷の大きい家畜は牛で、家畜関連の温室効果ガスの2/3を排出している。(※4 36頁

牛が消化をしている間~絶えずメタンが発生する。厄介なのがこのメタンで、CO2の25倍もの温室効果があるといわれている。~一方、植物由来の代替肉なら、生産過程でメタンは発生しない。~ビヨンドミートが生産の全工程で行った環境影響評価によると、代替肉は牛肉よりも温室効果ガス排出量が90%、水使用量が99%、土地使用量が93%、エネルギー使用量が46%少なく、人の健康や気候変動、資源保全などに良い影響を与えるという。(※4 37-38頁

1960年以降、中南米では熱帯林を肉牛の放牧地にするために開墾しています。ブラジルのアマゾン流域では約70%、コスタリカでは約80%の熱帯雨林が放牧地などの開墾のために消滅しています。~熱帯林の消滅により温暖効果ガスが増えて地球温暖化が促進されているのです。(※5 138頁

このような環境面の配慮から、肉、卵、乳製品などの動物性タンパク質の代替となるプラントベース食品を求める消費者が増加しています。

【メリット④】環境負荷を軽減する(水汚染/過剰消費対策)

世界では「子どもの5人に1人が必要な水を得られていない」といわれています(※6)。そのような中、畜産による水質汚染、水の過剰使用も社会問題化しています。

水は地球上に住むすべての動植物が生きていく上で欠かすことができない。しかし、人口増加に伴って地球規模での水使用量が拡大し、アフリカや中東、アジア、オセアニアなどの一部地域で慢性的な水不足に/世界全体で水不足一歩手前の「水ストレス」の状況にある人は地球人口の約10%、7億人に達しています。(※5 139頁

▼水汚染

環境省の発表によると、日本における産業廃棄物の種類別排出量は、第1位:汚泥(44.2%)、第2位:動物のふん尿(21.3%)です。(※7

世界的な動物愛護団体PeTAは食用に飼育されている家畜が排泄する糞便は全人口が排泄するものの130倍になると試算/水汚染の元凶の1つと言われる畜産業の主な汚染物質としては、家畜の排泄物、畜産の成長促進や病気予防で使われる抗生物質などを挙げることができます。(※5 140頁

この動物のふん尿は、適切に処理されていないケースもあり、重大な水質汚染につながっています。農林水産省は、ホームページ上に「畜産環境問題とは」というページを設け、増加傾向にある家畜排泄物による悪臭・水質汚染について取り上げています。

▼水消費

家畜の成長には、餌となる大量の穀物が必要となり、これを育てるためにも大量の水が消費されます。

1kg のトウモロコシを生産するには、灌漑(かんがい)用水として1,800 リットルの水が必要です。また、牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kg を生産するには、その約20,000 倍もの水が必要です。(※8

メリット③と同様に、このような環境や人権、動物愛護の観点からプラントベースの食品を選ぶ消費者が増え、それに応える食品の企画・開発が求められているのです。

【メリット⑤】食糧問題の解決につながる

ユニセフ、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連世界食糧計画(国連WFP)、世界保健機関(WHO)の国連5機関の調査で、2020年は、世界人口の約10分の1、最大で8億1,100万人が栄養不足に陥ったといわれています(※9)。さらに、農林水産省によると、人口増加と経済発展により2050年の世界の食料需要量は2010年比1.7倍となり、特に、低所得国の伸びが大きくなると予想されています。(※10 1頁

国連食糧農業機関(FAO)などの統計によれば、1000平方メートルの土地から得られることのできるタンパク質の量は、大豆39.9kg、牛肉2.2kg、大豆は牛肉の実に20倍近くも効率よくタンパク質を得ることができます。このようなわけで、肉食1人分の食事は菜食20人分に匹敵すると言われます。飼料を大豆から穀物に替えて換算すれば、肉食1人分の食事は菜食10人分に匹敵します。(※5 143頁

この穀物を利用した代替肉やプラントベース食品の割合を増やすことができれば、より多くの食品生産が可能になり、より多くの人に食べ物を届けることが可能になります。

グローバルな人口増加と中間層の拡大により、世界規模で1人あたりの肉や魚の消費量が増加し続ける一方で、現状の畜産や養殖は生産物の何倍もの穀物や魚粉によって賄われているため、2025~30年には世界でタンパク質の供給が需要に追いつかなくなると推測されている。~この予測が「タンパク質危機(protein crisis)」と表現され、欧米を中心に注目され始めているのだ。(※11

【デメリット】プラントベース食品2つのデメリット

ここまでメリットを挙げてきましたが、プラントベース化にはデメリットもあります。

(1)栄養素の偏りに注意が必要

動物性の食品にしか含まれていない栄養素があります(ビタミンB12など)。それを理解した上で、プラントベース食品の製造時に補ったり、消費者側でもサプリなどで補ったりする必要があるでしょう。

(2)発展途上なので味に課題があるものも

ミヨシ油脂が実施した「プラントベース食品に関する消費者調査」では、味のイメージに関しては、「おいしそう」「風味がよさそう」「食感がよさそう」「満足感がありそう」に対して「あまりそう思わない」・「まったくそう思わない」と回答したのはそれぞれ20%程度(※12)で、評価は高くないもののネガティブなイメージが強いわけではないことが分かりました。
一方で、日本国内でもプラントベース食品の開発が増えつつあり、数年前に比べて味に対する技術も発展してきました。これからは、プラントベース食品も当たり前に「おいしい」ことを求められるようになっていくでしょう。

「botanova(ボタノバ)」で食の可能性を開く

環境問題、食糧危機、健康志向、食の多様化…。さまざまな要因から、日本でもプラントベース食品のニーズが生まれています。
この流れをうけ、ミヨシ油脂では、動物性原料を使わずに、植物性原料のみを使って“動物性油脂の特長を活かしたおいしさ”を創りだす新たな食のプロジェクトを立ち上げました。
そこから生まれた食用油脂ブランドが「botanova」です。
「動物性油脂のおいしさを、プラントベースで創りだす。」という方針のもと、バターやラード、牛脂などの動物性油脂に含まれる香りの成分や風味のバランスを徹底的に分析し、新しいおいしさを創出しました。

プラントベースでの食品企画・開発の際には、ぜひご検討ください

無料サンプルや、さまざまなプラントベース食品に関するノウハウをご提供可能です

出典

(※1)厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課「アレルギー疾患の現状等」、平成28年、9頁
(※2) 株式会社フレンバシー Vegewel Style「第3回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査 by Vegewel【21年12月】」、2021年
(※3)日経電子版「総人口64万人減の1億2550万人 21年、減少率最大に」、2022年4月15日
(※4)石川伸一『「食」の未来で何が起きているのか〜 「フードテック」のすごい世界』、2021年
(※5)垣本充・大谷 ゆみこ「完全菜食があなたと地球を救う ヴィーガン」、2020年
(※6)日本ユニセフ協会「3月22日は世界水の日:子ども5人に1人が必要な水を得られず-水の安全保障をすべての人に」、2021年
(※7)環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度実績)について」、2021年
(※8)環境省「virtual water」、2022年
(※9)日本ユニセフ協会「世界の飢餓、新型コロナウイルスで悪化 アフリカ人口の2割以上が栄養不足 食料と栄養に関する国連合同報告書」、2021年
(※10)農林水産省「2050年における世界の食料需給の見通し」、2019年
(※11)Yahoo! JAPAN FQ「世界が90億人を「食べさせる」ことはできるのか?2050年の食料問題」、2018年
(※12)ネクストフードラボ「プラントベース食品企画開発の4つのポイント~プラントベース食品に関する消費者調査~性別(男女)・世代別の「認知度・イメージ」編」、2022年

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