米粉のパンづくりのコツ③~グルテンフリーの米粉パンについて~
小麦粉の高騰の影響で、パンづくりの材料として注目が集まっている米粉。「気になってはいるけれど、どのように使えば分からない……」という方も多いのではないでしょうか?そんな「米粉パンを作りたい」方から寄せられた質問に答えます。今回は、健康への意識の高まりなどから人気が出てきている、グルテンフリー(米粉100%)の米粉パンについてです。
「グルテン」は小麦粉に含まれるタンパク質が水を吸うことで作られ、多くのパンの原料である強力粉には、通常、グルテンを作るタンパク質が12~13%あります。「グルテンフリー」とは、グルテンを摂取しない食事方法、もしくはグルテンを含まない食品のことを言います。
グルテンフリーは、グルテンアレルギーを持つ人のための食事療法がはじまりとされていますが、近年では海外のスポーツ選手やモデルが取り入れて話題となり、アレルギーのない人たちにも少しずつ浸透しています。
米粉には、グルテンを作るタンパク質がないため、米粉100%でパンを作ると、グルテンフリーのパンになります。一方で、グルテンはふっくらとしたパン製品の骨格となるため、米粉だけでパンを作ろうとすると、ボリュームの少ないパンになってしまいます。また、米粉の主成分のでんぷんは非常に老化しやすいのが特徴で、かたくなりやすいパンに仕上がってしまうこともあります。
米粉100%でグルテンフリーのパンを作りたい時の、配合や製法のコツ・レシピをご紹介しています。
Q.粉類について
米を製粉したものだけでは、小麦パンのようなふっくらとした製品を作ることは難しいです。
米粉のみで作る場合は、焼成前の生地は液状になってしまいますし、あらかじめα化したでんぷんなど、生地の骨格になるような素材を、米粉に対して30%程度配合することが必要です。
Q.その他の原材料について
その他の原材料を選ぶ際に注意する点はありますか?
油脂についてお答えします。
グルテンフリーのパンを選ぶ理由として「アレルギーを持っている」場合があるため、可能な限りアレルゲンフリーを謳ったほうが、商品に付加価値がつきます。
グルテンフリーのパンは大変パサつきやすいですが、練り込み油脂に乳化剤や酵素入りの機能性油脂を使用することで、でんぷんの老化を抑制し、焼成後の生地のパサつきを軽減させることができます。
また、アレルゲンフリーにはなりませんが、米粉100%の生地の場合、味が淡白になりやすいので、コンパウンドマーガリンなどで風味に厚みを持たせることも良いと思います。
米粉パンにおすすめの機能性油脂
パールインショートニング
・酵素を配合しており、米粉特有のでんぷんの老化抑制に効果を発揮します。
・無味無臭ですので、米粉の風味を損なうこともありません。
サクセフレッシュS/サクセフレッシュ
・微細な乳化構造と配合する複数の乳化剤と糖質の効果で、パンのパサつきを抑えてソフトにし、おいしさを保ちます。
・老化しやすいパンの口溶けを向上させ、パサつきを抑え、しっとり感を長続きさせます。
クラージュ
・しっとりソフトでありながら、歯切れ・口溶けの良いパンが作れます。
・パサつきやすいパンでもソフトさを持続し、つぶれにくく仕上がります。
Q.工程について
ミキシングなど工程で注意することはありますか?
吸水は、米粉の種類にもよりますが、粉に対して120~130%程度入る場合もあります。
生地が液状になるため、生イーストは砕いて細かい粒状にし、可塑性のある練り込み油脂は15~20℃に調温しておきます。
低速で5分程度、しっかりと材料が混ざるまでミキシングします。
捏上温度が高いと発酵が進んでしまい、離水してしまうため、24℃以上にはならないように気をつけます。
フロアタイムは取らずに、シリコン型などに生地を流し込み、ホイロは通常の菓子パンの温度と湿度で約35分ほどとります。
生地重量の型に対する比容積は2.7程度です。
ホイロ後、小物であれば200℃で15分程度焼成します。
レシピ
ベーキングスタジオでは、グルテンフリーや、米粉を使用したパン・菓子のレシピを多数紹介しています。
ミヨシ油脂レシピ開発担当者のノウハウが詰まっています。ぜひご活用ください。
米粉のパンづくりのコツシリーズはこちらからご覧ください
お問い合わせを受け付けています。
米粉を配合したパン・菓子づくりのご相談がある方は、こちらの問い合わせフォームに、ぜひお寄せください。
米粉のみでパンは作ることができますか?