米粉のパンづくりのコツ②~小麦粉との併用またはバイタルグルテン使用の米粉パンの製法について~
小麦粉の高騰の影響で、パンづくりの材料として注目や人気が集まっている米粉。「気になってはいるけれど、どのように使えば分からない……」という方も多いのではないでしょうか?
ミヨシ油脂のレシピ開発担当が、米粉を使用したパンの配合を検討する中で得たノウハウをもとに、「米粉パンを作りたい」方から寄せられた質問に答えます。
第2回の今回は、小麦粉との併用またはバイタルグルテンを使用する米粉パンの製法について、質問に答えます。
米粉使用のレシピも多数紹介しています。この機会にぜひ、米粉を使ってパンを作ってみませんか?
Q.製法について
米粉のパン生地は発酵耐性が弱いため、小麦粉のパン生地のように中種で4時間の発酵には耐えられません。できればストレート製法をおすすめします。
中種製法の場合でも、米粉だけでは生地につながりができないため、小麦粉との併用が良いと考えます。例えば米粉50%+強力粉50%でパンを作る場合、中種は米粉25%+強力粉25%で2時間発酵などが良いでしょう。
Q.ミキシングについて
ミキシングの際の注意点はありますか?
米粉のパン生地は、ミキシング耐性が弱いため控えめにします。ミキシング時間が長いと、米粉のでんぷんは小麦粉に比べてかたいため、グルテンの伸びについていけなくなります。また、ミキサーとの摩擦熱で生地温度が上昇し、発酵が促進されてしまいます。
Q.捏上温度について
最適な捏上温度は何度ですか?
捏上温度を上げると発酵が進んでしまうため、中種は24℃以上、本捏は26℃以上にならないようにします。
発酵が進むと、伸びの少ない弱いグルテンのため、グルテン同士のつながりが密にならず、間の自由水が外に出てきてしまいます。その結果、離水してグルテンが切れる現象が起こります。
Q.フロアタイムについて
フロアタイムはどのくらいが適切ですか?
フロアタイムを十分とってしまうと発酵が進み、生地切れを起こし、作業性も悪くなります。またグルテンが切れてしまうことで、ボリュームも小さくなります。フロアタイムは控えめにするのがおすすめです。
Q.分割について
米粉を使用したパン生地の、分割重量はどのくらいが適切ですか?
また、分割時の注意点はありますか?
小麦粉のパンでは、プルマン型の平均的な型比容積は4.0程度かと思います。米粉を使用したパンの場合、窯伸びがあまり良くないため、4.0だとホイロ時間が⾧くなり、生地に負荷がかかります(焼成後、表面に火ぶくれのようなものができやすくなります)。米粉のパンの場合は、型比容積は3.8~3.6が良いでしょう。
また、型を使用しないテーブルロール系のパンで、小麦粉のパンと同様のボリュームを求める場合、小麦粉のパンより1割程度~米粉の割合に応じて、分割重量を多くした方が良いでしょう。
時間が経ち、発酵が進んでくると、丸めの工程で「綴じ目」が上手くつかないことがあります。小麦粉のパン生地はグルテン膜の中にでんぷん粒があり、グルテン同士がくっついてくれますが、米粉のパンではでんぷん粒子が粗くかたいため、時間が経つとでんぷんがグルテン膜を破って表面に出てきてしまいます。でんぷん同士は結着しないので、綴じ目やつなぎ目がきれいにならない場合もあります。
Q.ホイロについて
ホイロの目安などはありますか?
プルマン食パンの場合、型比容積が3.6であれば、ホイロは38℃ 80%で40分程度です。型比容積が3.8であれば、ホイロは38℃ 80%で45分程度で様子を見てください。
小麦粉のパンのようにグルテンの骨格がしっかりしていないため、取り扱いは、より慎重にする必要があります。
Q.焼成について
焼成で注意することはありますか?
オーブンによりますが、プルマン食パンの場合、200℃40 分で焼き上げます。可能であれば最初の15分で下火をきかせると、オーブンスプリングが大きくなります。
テーブルロールなどは、生地重量に合わせて焼成してください。
ベーキングスタジオでは、米粉を使用したパンや菓子のレシピを多く紹介しています。ミヨシ油脂レシピ開発担当者のノウハウが詰まっています。ぜひご活用ください。
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米粉を使用してパンを作る場合、どのような製法が適しているのでしょうか?