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エシカル消費とは?SDGsとの関係や食品市場での現状、展望、消費者ニーズをご紹介

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エシカル消費は、SDGs 12番目のゴール「つくる責任 つかう責任」に関係し、SDGsや環境に深く関連する消費行動のひとつです。
本記事ではそもそも「エシカル」とは何なのか。また、エシカル消費を意識した企業の取り組みや社会、消費者からの期待、これからの展望について解説します。

目次
そもそも、「エシカル消費」とは?
エシカルを訴求する製品は食品業界で増えているのか?
実際に、消費者はエシカルな食品を求めているのか?
ニーズも味も満たす!これからのエシカル訴求におすすめの製品

この記事のキーワード:エシカル消費、SDGs、アップサイクル、プラントベース

そもそも、「エシカル消費」とは?

「SDGs」「食品ロス」「エコ」「持続可能な社会」「リサイクル」など、私たちの消費行動や環境に関する言葉や概念は多岐にわたります。そしてそれらを包括し、関連する言葉として、「エシカル」があります(*1)。

消費者庁によると、「エシカル消費」とは、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことを指します。「エシカル」と似た考え方として「サステナブル」や「SDGs」がありますが、サステナブルは特に環境問題への配慮に重きを置いており、SDGsは2030年までに達成すべき国際目標として人間の活動に焦点を当て、貧困の解消やエネルギー問題などその項目は多岐にわたっています。エシカルはこれらを包括した、より広範な概念として注目されています(*1)。

本記事では、未来に向けた取り組みとして消費者に受け入れられる、人・社会・地域・環境に配慮したエシカル消費がどのようなものか、考察します。

エシカル消費が広まりつつある産業のひとつとして、ファッション業界があります。ファストファッションの普及など消費生活の変化が影響し、生産で使われる水の量や排出される温室効果ガス、廃棄で生じるごみの量が増加したことから、2019年、国連はファッション産業を世界で2番目の汚染産業であると報じました(*1)。しかし近年では、環境にやさしい栽培方法を取り入れ、生産者の生活環境も支援する「ベターコットン」認証の取り組みの普及(*1)など、人や環境に配慮した消費行動・商品・サービス、つまりエシカル消費はファッション業界で広まりつつあります。

それでは食品業界は、エシカル消費の観点から見ると、どのような状況にあるのでしょうか。

エシカルを訴求する製品は食品業界で増えているのか?

国連環境計画(UNEP)によると、2022年には世界で10.5億トンの食料が廃棄され、このうち約60%は家庭から、28%は外食から、12%は小売りから出ていると推計されています(*1)。本来食べられるが家庭から廃棄されている食品を「食品ロス」といい、骨など食べられない部分を含めたものを「食品廃棄物」と呼びます。食品廃棄物から排出される温室効果ガスは、世界全体の温室効果ガス排出量の約1割を占め、航空部門の総排出量の約5倍に相当しています(*1)。

地球温暖化などの気候変動が発生している中で、人類が廃棄する食品の量を鑑みると、消費者は人・社会・地域・環境に配慮した、倫理的・道徳的な消費を心がけ、生産されたにも関わらず廃棄される食品ロスの削減に努める必要があります。さらに、こうした意味での倫理的消費を広めるための教育も重要です。そしてもちろん、消費者だけでなく、食品を生産する側からのアプローチの推進も欠かせません

食品廃棄量削減を意識した食品メーカーの工夫は、食品パッケージやラベルなどでよく見られます。最近ではウェブサイトでも資料や関連情報を発信するなど、各メーカーは積極的に情報を発信しています。

食品のパッケージやラベルにてエシカルを訴求した新製品数の推移を見てみましょう。下記のグラフは、2004年から2023年までの20年間で発売された食品のうち、パッケージでエシカルを訴求している新商品の数の推移を表したものです。

2023年に日本で新発売された食品のうち、エシカルを訴求している製品は全体の40.2%を占めていました。その伸長は著しいものです。また、エシカルを訴求している新製品の数は、世界でも伸長し続けています。

では、食品でのエシカル訴求の内容には、どのようなものがあり、どのように推移しているのでしょうか。下記のグラフは、2019年から2023年までに発売されたエシカル訴求をする日本の食品について、その内容をまとめたものです。「環境にやさしいパッケージ」「持続可能な生息地/資源」が群を抜いて多く、しかも2019年から2023年の5年間で継続して増えています(*1)。

なお、世界の新製品に比べて、日本の新製品は、エシカル訴求の内容として、「人間への倫理的配慮」(2023年世界の新製品の5.0%が訴求)、「動物成分フリー(ヴィーガン)」(9.6%)、「オーガニック」(9.7%)が少ないのも特徴です。環境問題への関わりが問題視されている食品業界でも、食品メーカーによる工夫は広まっており、今後もエシカルを訴求する製品は増えていくことが予想できます。

エシカル訴求をアピールしている食品は、どのカテゴリーに多いのでしょうか。世界の食品では、フェアトレード制度がすでに広まっている「チョコレート菓子」カテゴリーが最も多く、2023年の新製品のうち50.5%がエシカル訴求の製品でした(*1)。日本の食品では、下記のグラフの通り、エシカルを訴求する製品の割合は、「ベーカリー」・「スナック」カテゴリーが著しく伸長していることがわかります。

実際に、消費者はエシカルな食品を求めているのか?

ここまで、日本でも世界でもエシカルを訴求する食品の新製品は増え続けていること、また日本で伸びているエシカル訴求の内容や食品のカテゴリーについて見てきました。

では実際に、消費者はエシカルな食品を求めているのでしょうか。Mintelの調査によると、アメリカの消費者の81%は「食品小売業者は食品廃棄を最小限に抑えるためにもっと努力すべき」と考えています。また、43%は「持続可能な方法で生産された食品のためなら、もっとお金を払ってもいい」と考えており、実際、37%は「食品・飲料は全て/ほとんど、持続可能性を訴求する商品を選ぶ」と答えています(*1)。

日本の消費者は、その37.6%が「購入する際、SDGsに沿った食品であることを考慮するとしており(*2)、加えて、本来であれば廃棄されるものを活用し加工した食品、つまりアップサイクルフードについて、26.0%が「捨てられるものを活用する商品ストーリーが魅力的」と考えています(*3)。このように、消費者はエシカルな食品を求めているといえます。

エシカルな食品にはさまざまありますが、ここでは積極的にエシカルにアプローチし、消費者に向けアピールできる食品分野を2種、ご紹介します。

1. アップサイクルフード

「食の廃棄問題」というと、外食やスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの流通、一般家庭といった、身近なところから出る廃棄物が注目されがちです。しかし実際には、食品の廃棄は、生産から流通、消費までの長いサプライチェーン全体で発生しています。特に廃棄量が多いのは原料の生産現場や食品製造の場で、全体の半分以上を占めています(*1)。

この問題を解決するためには、生産効率の向上や生産方法、流通の改善などさまざまな方法が考えられますが、その中でも最近、特に注目を集めているのが「アップサイクルフード」です。食品におけるアップサイクルとは、流通に乗せられなかった規格外の生産物や、加工の段階で生じる皮や種などのごみを再利用して(*1)、価値のある商品として生まれ変わらせる取り組みのこと。世界のアップサイクルフード市場は、2023年に500億ドルを超え(*1)、2033年には860億ドルに達すると予想されており、今後も成長が見込まれています。

日本でも、SDGsへの貢献を目指し、まだおいしく食べられるにも関わらず流通過程のさまざまな規格の問題で廃棄されるフルーツなどを活用して、パンや飲料の原料にする取り組みが広がっています。このような活動は食品廃棄を減らすだけでなく、地産地消を促進し、消費者がなぜこの商品を買うのか、考えるきっかけにもなっています。

2. プラントベースフード

健康意識の高まりやサステナビリティへの関心が高まる中、「プラントベース」という概念は広がりを見せています。日本でも、海外に続いて大豆ミートなどの開発が急速に進んでおり、世界ではさらに、プラントベースのシーフードや、大豆以外の豆、ジャックフルーツ、海藻、キノコの菌糸体を培養したマイコプロテインなど、さまざまな原料を使ったプラントベースフードの開発が進んでいます。

植物性原料を使って動物性食品を再現している商品には、すでに多くの人々に受け入れられているものもあります。しかし、一般的にはまだ「プラントベースフードは親しみにくい」という印象を持つ消費者が多いのが現状です。そこで最近では、「プラントベースであること」の意義を強調し、動物への倫理的配慮を訴求した商品や、植物性原料ならではの新しい味わいを提案する商品が増えています。

さらに、従来の食品に新たな価値を見出すアプローチも有効です。例えば、味噌汁や豆腐、がんもどきといった食品は、日本人にとって昔から馴染みのあるプラントベースの自然な選択肢です。代替肉のように豆腐を別の形に変えるよりも、豆腐そのものの魅力を引き出して新しい楽しみ方を提案するほうが、消費者の興味を引きやすく、より身近に感じてもらえる可能性があります。

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消費者意識からひも解く 2024トレンド予測③ 
~シン・SDGs 消費者に求められるかたち~

ミヨシ油脂では、2023年の消費者トレンドや主要トピックを振り返り、2024年の消費トレンドを予測しました。2015年9月に採択され2023年が折り返し年のSDGsについて、消費者がメーカーに求める「シン・SDGs」を考察。アップサイクルフードやプラントベースフードに関する独自アンケート調査結果も多数掲載しています。

でもやっぱり、消費者はおいしさを重視

ここまで、エシカルな消費の必要性やエシカル製品の増加、消費者からのエシカル食品に対するニーズを確認してきました。また、エシカル消費に積極的なアプローチを実践できる食品分野を紹介しました。

企業がエシカル食品に取り組む一方で、消費者が実際に加工食品を選択する際、価格以上の価値を感じる商品にはどのような特徴があるのでしょうか。下記のグラフ(*4)をご覧ください。ミヨシ油脂独自の消費者調査によると、消費者が自分のために加工食品を購入するとき、価格以上の価値を感じる商品の最大の特徴は「おいしそう」であることがわかっています。これは消費者の選択基準において、味覚的な魅力が特に重要な例であるといえるでしょう。

ニーズも味も満たす!これからのエシカル訴求におすすめの製品

エシカルな食品は消費者に求められるポイントではありますが、「おいしさ」も備えた製品でなければ、消費者は選ばないのが実情です。そこで、ミヨシ油脂から、人・社会・地域・環境に配慮した、倫理的・道徳的な消費「エシカル消費」に沿いつつ、「おいしさ」も付与できる油脂を紹介します。

1. エシカル消費に沿いつつ、おいしさも付与できる『botanova』シリーズ

ミヨシ油脂では、動物性原料を使わず、“動物性油脂の特長を活かしたおいしさ”を創り出す食用油脂ブランド『botanova』シリーズをご用意しております。ラインアップは、「バター風味」「ラード風味」「牛脂風味」「鶏油風味」の4種類があります。

いずれもNPO法人ベジプロジェクトジャパンの定める基準を満たしており、ヴィーガン認証マークが付与されています。また、持続可能なパーム油の生産に貢献している、RSPO(マスバランス)認証製品です。

人・社会・地域・環境に配慮した、倫理的・道徳的な消費「エシカル消費」に沿いつつ、さらに「おいしさ」も付与できる『botanova』シリーズについて、詳しくはこちら!サンプル請求・カタログダウンロードもできます。

botanovaシリーズについて、製品紹介はこちら

2. おいしさ長持ちで食品ロスの削減に寄与する『粉末油脂』

ミヨシ油脂の粉末油脂は、おいしさを満たしつつ、それを長期間持続できる機能を持たせることで、賞味期限・消費期限の延長に寄与できます。

人・社会・地域・環境に配慮した、倫理的・道徳的な消費「エシカル消費」に沿いつつ、さらに「おいしさ」も付与できる粉末油脂について、詳しくはこちらのQ&Aをご覧ください。

粉末油脂の総菜への効果に関するQ&A一覧

粉末油脂に関するQ&A一覧

粉末油脂に関するQ&A一覧はこちら

*1:ミンテルジャパンレポート「エシカル・ライフスタイルと消費者 – 2024年」より引用
*2,*3:ミヨシ油脂実施アンケート調査 「アップサイクルフードに関する意識調査」より
 調査時期:2023年11月 有効回答数:1400 調査手法:インターネット調査
 対象者条件:15~79歳男女 *1は、5段階での選択肢のうち「考慮したい」「やや考慮したい」の合算
*4:ミヨシ油脂実施アンケート調査 「食に関するパフォーマンス重視調査」より
 調査時期:2023年11月 有効回答数:1400 調査手法:インターネット調査
 対象者条件:15~79歳男女 普段、加工食品を3か月に1回以上購入する方 *関係業種除外 
 調査対象の加工食品:パン、菓子(スイーツ・スナック)、総菜(チルド・冷凍食品)、飲料(清涼飲料水、乳飲料)

参考:
消費者庁 エシカル消費とは
 エシカル消費とは|エシカル消費特設サイト[消費者庁] (caa.go.jp)
消費者庁 食品ロス削減ガイドブック(令和6年度版)
 食品ロス削減について行動する | 消費者庁 (caa.go.jp)

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