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油脂の製法~油脂はどうやって作る?~
よくわかる油脂のはなし【第2章】

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コラム「よくわかる油脂のはなし」シリーズでは、100年以上油脂の力を生かしたものづくりを続けてきたミヨシ油脂が、全4回にわたって油脂についてわかりやすく解説します。ぜひ商品の開発や企画にお役立てください。
前回は油脂とはそもそもどのようなものなのか、定義やしくみについてご紹介しました。今回は、油脂がどのように作られるのか、原料や製法について詳しくご説明します。

目次

前回の記事はこちら
そもそも油脂ってどんなもの?定義は?構造は?少し難しい内容を、わかりやすく解説しています。
今回の記事がさらによくわかる、基礎的な内容です。ぜひご覧ください。

1.油脂は何から作られる?

油脂は原料によって大きく2種類に分けられます。大豆や菜種などの植物からとれるものを「植物油脂」、豚や牛などの動物からとれるものを「動物油脂」といいます。

植物油脂と動物油脂

2.油脂はどうやって作る?

原料からとれた原油は風味が悪く、不純物を含むため、そのまま食用に使うことはできません。原油は「採油」「精製」「加工」という3つの工程を経て、食用に適する状態になります。各工程の内容を詳しく見ていきましょう。

油脂作りの工程

① 採油
まず、植物あるいは動物から原油を摂り出します。原料によって採油方法は異なります。例えば、菜種油は、原料である「菜種」に圧力をかけて採油します。

②精製
次に、原油から不純物を除去します。不純物を取り除かないと、油脂の酸化や変敗が進み、風味が悪く、食用に適さない状態のままです。そのため、脱色・脱臭などの工程を経て、原油を精製していく必要があるのです。

③加工
最後に、用途に合わせて油脂の物性や性質を変えるため、精製された油脂を加工します。加工法は主に3種類あります。次の章では、それぞれの加工法を詳しくご説明します。

3.3種類の油脂加工法

油脂の加工方法は主に3種類あり、用途や目的に応じて方法を変えています。

①水素添加

油脂を構成する物質のひとつである「脂肪酸」の二重結合に水素を加える加工法を「水素添加」といいます。二重結合に水素を加える、つまり二重結合を単結合にする(二重結合を減らす)加工法です。(脂肪酸・二重結合について詳しくはこちら)水素添加により、油脂の融点が高くなり、固体脂量が増加します。
また、水素添加は「硬化」とも呼ばれ、一部の二重結合に水素を付加させることを「部分硬化」、全ての二重結合に水素を付加させることを「極度硬化」といいます。

水素添加

●部分硬化について
部分硬化は二重結合の数を調整できるため、用途に合わせて油脂の性質を変えることができます。やわらかさや口溶け、酸化のしにくさなどに特徴を出せる一方で、心疾患のリスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」が一部生成します。
ミヨシ油脂をはじめ、多くの食品事業者では、部分硬化油を使用しないことで、トランス脂肪酸の低減に取り組んでいます。

トランス脂肪酸のご心配について

ミヨシ油脂は10年以上前からトランス脂肪酸の低減化に取り組み、安心してお使いいただけるマーガリンをお届けしています。

●極度硬化について
油脂を極度硬化し、二重結合を無くすことで融点が高くなり、半固体・固体の油脂を作り出せます。例えば、加工前の菜種油の融点は約-12~0℃で、常温のときに液体ですが、極度硬化することで融点は約60℃~70℃にまで上がります。

②分別

2種類以上の物質の混合物から各成分の純度を上げて分離することを「分別」といいます。混合物を分別することで、分離した各油脂を適切な用途に使うことができます。分別の中でも「分別結晶法」は、混合物を融点の違いによって分ける方法で、液状化させた油脂を徐々に冷却することで、やわらかい液状部と硬い結晶部に分別します。

分別結晶法

③エステル交換

油脂はグリセリンと脂肪酸という2種類の物質が結合しています。(詳しくはこちら)原油に触媒を加えることで、グリセリンに結合している脂肪酸の位置を分子間、分子内で入れ替える加工法を「エステル交換」といいます。脂肪酸の結合位置を変えることで、油脂の性質は大きく変化します。つまり、エステル交換を行うことで、油脂の性質を用途に合わせて変えることができるのです。

エステル交換

4.まとめ

今回は、油脂の原料や製造方法についてご紹介しました。最後に内容を振り返ってみましょう。
油脂は、大豆や菜種などの植物からとれる「植物油脂」、豚や牛などの動物からとれる「動物油脂」に大別されます。
「採油」「精製」「加工」という3つの工程を経て、これらの原料から油脂が作られます。油脂の加工法は「水素添加」「分別」「エステル交換」の3種類が挙げられます。これらの加工技術により油脂の性質を変え、用途に合わせて使いやすくしています。
このうち、一部を水素添加する部分硬化は、心疾患のリスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」を一部生成します。したがって、ミヨシ油脂を含む多くの食品事業者は、部分硬化した油脂を使用せずに、製品の品質を保ちつつ、従来よりもトランス脂肪酸の含有量が少ないマーガリンやショートニング等を開発しています。

5.次回予告:油脂は体にいいの?

最終回となる次回は、油脂の健康への影響について詳しくご紹介します。油脂に関するわかりやすい情報が盛りだくさんですので、ぜひ次回もご覧ください。

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