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「植物性ミルク」にはどんなものがある? 基本知識や種類ごとの特徴を解説

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植物性ミルクとは? 種類ごとの特徴や人気の理由など、植物性ミルクの基本知識を詳しく紹介します。植物性ミルクならではの魅力をあらためて知っておきましょう。

健康志向の高まりやSDGsなどの影響を受け、プラントベースフードの需要拡大が続いています。豆乳をはじめとする植物性ミルクもその一つで、近年ではアーモンドミルクやオーツミルクなどさまざまな種類が市場に出回っています。

この記事では、植物性ミルクとはどのようなものなのか、基本知識や種類ごとの特徴などを詳しく紹介します。あらためて植物性ミルクのことを知っておきましょう。

「植物性ミルク」って何?

ナッツと植物性ミルク

植物性ミルクとは、豆やナッツ、穀物など植物性の素材から作られる飲料のことです。作り方はシンプルで、植物の実や種を細かく砕いて、成分を水で抽出します。

身近な植物性ミルクといえば、大豆を原料とする豆乳が代表的です。最近では、アーモンドミルクやオーツミルク、ココナツミルクなども市場に多く出回っています。植物性ミルクの需要は高く、素材そのものの味わいが楽しめるものから、砂糖や蜂蜜を加えて飲みやすくしたものまで、さまざまな商品が販売されています。

植物性ミルクは、牛乳など動物性ミルクの代わりになることから「代替ミルク」とも呼ばれています。

植物性ミルクの特徴

ミルクを飲む子ども

植物性ミルクの特徴や魅力を紹介します。

・牛乳と比較して低カロリー
・栄養価が高い 
・牛乳アレルギーの人も安心

それでは順番に詳しく見ていきましょう。

牛乳と比較して低カロリー

植物性ミルクは、牛乳よりも低カロリーなものが多いです。牛乳と豆乳を比べてみると、*100gあたり普通牛乳が約61kcal であるのに対し、*豆乳は約44kcal です。また、**アーモンドミルクは約19kcal 、**オーツミルクは約48kcalと、いずれも牛乳より低カロリーとなっています。

ただし、植物性ミルクにはさまざまな種類があり、素材によっては牛乳よりも高カロリーとなる場合があります。例を挙げると、*ココナツミルクは100gあたり約157kcalとカロリーが非常に高いため、飲みすぎには注意が必要です。

<参照>
*文部科学省, 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
**U.S. Department of Agriculture, FoodData Central

栄養価が高い  

植物性ミルクの栄養素は原材料によって大きく異なりますので、目的がある場合には体に取り入れたい成分をチェックした上で合ったものを選ぶことが大切ですが、一般的に植物性ミルクは、牛乳ではとることのできない栄養素が多く含まれていることが特徴です。
例えば豆乳の場合、タンパク質やビタミン、ミネラルといった牛乳が持つ栄養素以外に、イソフラボンや食物繊維、必須脂肪酸など、健康維持に役立つ成分を多く含んでいます。   

牛乳アレルギーの人も安心

「ミルク」という名称によって牛乳が連想されがちですが、植物性ミルクには牛乳は含まれていません。牛乳が苦手な方や体質に合わない方でも、安心して飲めます。

日本では、欧米のように乳製品を積極的に摂取する習慣がなかったため、日本人の3人に2人は乳糖不耐症であるともいわれています。乳糖不耐症とは、乳製品に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素が欠けている状態のことで、牛乳を飲むとおなかがごろごろしたり、下痢を起こしたりします。
乳糖不耐症や牛乳アレルギーの方にとって、植物性ミルクは牛乳の代替品となります。近年、植物性ミルクの流通が拡大したことで、牛乳が体質に合わない方でも口にできる食品のバリエーションが増えています。

 植物性ミルクが注目を集める理由

ミルクを掲げる手

植物性ミルクは、なぜ今こんなにも注目を集めているのでしょうか。考えられる主な理由を以下にまとめました。

・健康志向や美容に対する意識の高まり
・牛乳アレルギーや乳糖不耐症における代替ミルクとしての活用
・ヴィーガンなど植物性食品メインの食生活を実践する人の増加
・SDGsや環境負荷低減の取り組みの推進

植物の実や種を原料とする植物性ミルクは、通常の牛乳よりもカロリーや脂質が低いものが多く、栄養素が豊富に含まれているという特長があります。健康や美容のためにカロリー摂取を抑えたい方や、動物性脂質を控えたい方にとって魅力的な食品といえるでしょう。

また、植物性ミルクは動物性素材を含まないため、牛乳アレルギーや乳糖不耐症、ヴィーガンの方でも口にすることができます。植物性ミルクを使ったさまざまな商品が増えた ことによって、多彩な食が楽しめるようになりました。

植物性ミルクは、SDGsの観点からも注目を集めています。生産時の環境負荷が牛乳よりも少ないため、牛乳の代わりに植物性ミルクを選ぶことで、豊かな環境作りに貢献できるといわれています。このような多くのメリットを持つ植物性ミルクは、今の時代にマッチした食品といえるでしょう。

牛乳と植物性ミルクの栄養価を比較!

牛乳と植物性ミルクでは、栄養価にどのような違いがあるのでしょうか。牛乳、豆乳、ココナツミルクの栄養価を表にしました。

<*100gあたりの栄養素の比較 >

牛乳豆乳ココナツミルク
エネルギー(kcal)6144157
タンパク質(g)3.33.61.9
脂質(g)3.82.016.0
炭水化物(g)4.83.12.8
食物繊維(g)00.20.2
カルシウム(mg)110155
カリウム(mg)150190230
マグネシウム(mg)102528
鉄(mg)01.20.8

<参照>
*文部科学省, 食品成分データベース 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
※牛乳は普通牛乳、豆乳とココナツ ミルクは無添加の計測値

表にしてみると、牛乳、豆乳、ココナツミルクそれぞれの栄養価の違いが明確になります。牛乳の特徴は、カルシウムが豊富に含まれている点です。一方、豆乳とココナツミルクではカルシウムは低い値となっていますが、牛乳にはない鉄や、牛乳の倍以上のマグネシウムを摂取できるというメリットがあります。

また、豆乳とココナツミルク を比較すると、同じ植物性ミルクでも栄養素に大きな違いがあることがよく分かります。植物性ミルクを選ぶときは、味わいだけでなく栄養素にも注目するといいでしょう。

植物性ミルクの種類

ナッツと植物性ミルク

植物性ミルクは、さまざまな種類があります。
ここでは、植物性ミルクの種類とその特徴を紹介します。

豆乳

大豆を原料とする豆乳は、植物性ミルクの代表格。水に浸した大豆をすりつぶし、加水して煮詰めたものをこすと豆乳ができます。豆乳は良質なタンパク質が豊富で、大豆イソフラボンやサポニン、レシチンなどを含みます。牛乳とよく比較される豆乳ですが、牛乳よりもカリウムやマグネシウムの含有量が多いこと、牛乳と違ってコレステロールを含まない点も特徴です。

オーツミルク

オーツミルクは、オーツ麦から作られる植物性ミルクです。オーツ麦由来のやさしい甘みと牛乳に似たクリーミーな味わいが感じられます。味や香りにクセがないため飲みやすく、さまざまなレシピに取り入れやすいといわれています。オーツミルクは食物繊維が非常に豊富です。牛乳以上のカルシウムや、オーツ麦由来のポリフェノールを含むことも特徴といえます。

アーモンドミルク

アーモンドミルクは、アーモンドを原料とする植物性ミルクです。口にするとナッツ特有の香ばしい風味が広がります。アーモンドミルクは、強い抗酸化作用を持つビタミンEが豊富です。食物繊維やオレイン酸も多く含むことから、健康や美容への効果が期待されています。牛乳よりも低カロリーで低糖質、コレステロールもゼロなので、アーモンドミルクはヘルシー志向の方にもおすすめです。

ココナツミルク 

ココナツミルクは、ココナツ種子の固形胚乳から作られる植物性ミルクです。脂肪分が高く、濃厚な甘みと味わいが特徴的。ココナツミルクは東南アジアにおいて一般的な食材で、日本では主にカレーやスイーツなどに利用されています。中鎖脂肪酸やビタミンEの他、カリウム、マグネシウム、ナトリウムなどのミネラルも多く含みます。

ライスミルク

ライスミルクの原料は、日本人にとってなじみの深い白米や玄米。お米の自然な甘みをほんのりと感じる、やさしい味わいの植物性ミルクです。ライスミルクの栄養価は、米由来のものが中心となります。食物繊維やビタミンB群、ビタミンE、ミネラルなどが代表的です。

ピーミルク

ピーミルクの「ピー(Pea)」は日本語でエンドウ豆のこと。 ピーミルクは、エンドウ豆で作られる植物性ミルクのことをいいます。クセのないすっきりとした味わいで、そのまま飲むのはもちろんですが、コーヒーや紅茶とブレンドしたり 、料理に加えたりするなど、牛乳と同じ感覚で使えます。日本ではまだ認知度の低いピーミルクですが、主要なアレルゲンを含まないことや、栽培時の環境負荷が少ないことから、近年注目を集めつつあります。

ヘンプミルク

ヘンプミルクの「ヘンプ(Hemp)」とは、日本語で麻のこと。ヘンプミルクは、麻の実(ヘンプシード)から作られる植物性ミルクです。日本ではあまり流通していませんが、欧米では割とポピュラーで、スーパーなど身近な場所で入手できます。ヘンプミルクの魅力は、栄養的に優れている点です。9種類の必須アミノ酸を含む良質なタンパク質や、オメガ3系とオメガ6系の必須脂肪酸、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維など、体に良いとされる栄養素を摂取できます。

カシューナッツミルク

カシューナッツミルクはその名の通り、カシューナッツを原料とする植物性ミルクです。カシューナッツならではの甘みとコクが感じられます。カシューナッツミルクは、鉄、銅、亜鉛、マグネシウムなどのミネラル成分や食物繊維を多く含んでいます。

マカダミアミルク

マカダミアミルクは、マカダミアナッツを使用した植物性ミルクです。マカダミアナッツ特有の香ばしさと、まろやかでクリーミーな味わいが魅力で、コーヒーや紅茶にもよく合います。マカダミアミルクには、良質な不飽和脂肪酸や食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。

くるみミルク

くるみミルクの原料であるくるみは、栄養豊富で脂質が多く、低糖質。オメガ3脂肪酸や抗酸化物質の他、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を含みます。栄養たっぷりのくるみミルクですが、日本での認知度はまだ低く、あまり流通していません。

ピーナツミルク

ピーナツミルクも流通量が少ない植物性ミルクとなります。乳成分や砂糖を加えた商品は販売されていますが、純粋なピーナツミルクは入手しづらいのが現状です。

ピスタチオミルク

日本ではまだあまり見かけないピスタチオミルク。「ナッツの女王」と呼ばれる栄養豊富なピスタチオが原料です。ピスタチオ本来の風味とグリーンベージュのきれいな色味が楽しめます。

ヘルシーで地球にもやさしい植物性ミルクに注目

この記事では、植物性ミルクの基本知識や種類ごとの特徴を紹介しました。栄養素が豊富で環境にもやさしい植物性ミルクは、各方面から大きな注目を集めています。豆乳やアーモンドミルクといった植物由来のドリンクだけでなく、植物性ミルクを使用した食品、調味料、スイーツなども人気が高く、今後も需要が拡大することが予測されます。

健康的な食生活のサポートや代替ミルクとしての活用、環境負荷の軽減など、植物性ミルクは大きな可能性を秘めています。植物性ミルク市場のこれからの展開に目が離せません。

▼植物性ミルクの開発・製造にお悩みの方必見!

<参考・出典>
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・U.S. Department of Agriculture「FoodData Central」

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