ミヨシトレンド研究所 レシートデータでコンビニ商品を徹底分析「宮崎名物じゃりぱん」
大手コンビニエンスストア3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)の実購買データを集計できるフェリカネットワークス株式会社の「IDレシートデータ」。本連載では、その最新データをもとにミヨシ油脂の「ミヨシトレンド研究所」所員が、当社製品採用、不採用を問わず、調査結果に基づいて注目商品をピックアップし、ヒットの理由を徹底分析。さらにその結果をもとに、勘に頼らず“いま本当に売れる商品”を提案します!
IDレシートデータとは……
約3万人の生活者から日々集まる、お買い物レシートデータ。業態やチェーン、カテゴリを横断した膨大なデータを分析できる
今月の注目商品
「 宮崎名物じゃりぱん 」
※ミヨシ油脂製品の採用品ではありません
【価格】120円(税込129.60円)
【販売店舗】セブン‐イレブン
【販売日】2022年3月15日
【発売地域】埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州
セブン-イレブンが2022年3月15日から開催した「九州フェア」に合わせて発売されたご当地グルメの一つ。IDレシートデータの集計結果によると、発売開始の2022年3月15日から2022年7月31日まで、セブン-イレブンの菓子パンカテゴリにおいて購入ユーザー数で総合2位、購入個数で総合3位を獲得した。
コンビニで売られている数あるパンの中で、ご当地パンがランキングの上位に入ることは珍しい。しかも、発売開始から約3カ月間も上位をキープしていた。商品名や見た目だけでは味の想像がつきにくく、決して(発祥の地である宮崎県以外では)知名度が高いとも言えないご当地パンがなぜここまでのヒット商品となったのか。その理由を探った。
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どんなパン?
「じゃりぱん」とは、宮崎県宮崎市内にある老舗ベーカリーが発祥のご当地菓子パン。コッペパンにマーガリンやショートニングなどの油脂と、グラニュー糖などの砂糖を混ぜたクリームを挟んだもので、食べた時にグラニュー糖の食感が「じゃりじゃり」とすることから「じゃりぱん」と名付けられた。高校の購買などでも販売され、宮崎県のソウルフードとして親しまれているという。
発祥の店の「じゃりぱん」はコッペパンにスリットを入れてクリームが塗られているが、「宮崎名物じゃりぱん」は絞ったクリームが中央に挟まっているのが大きな違い。棚に並んでいる状態でもクリームがはっきりと見えていた。また、長さが30センチほどと大きいため売り場でも目立っていた。
男性からの高い支持
IDレシートデータでセブン-イレブンの菓子パンカテゴリの購買ランキングをチェックしたところ、菓子パンカテゴリ商品を購入した男性のうち、16.6%のユーザーが「宮崎名物じゃりぱん」を購入し1位、女性では9.5%で3位。同様に、セブン-イレブンで男性が購入した菓子パンカテゴリ商品のうち、「宮崎名物じゃりぱん」の個数シェア率が5.3%で2位。女性では、3.6%で4位だった。男女ともに売れ行きは良かったが、特に男性からの人気が高かった。
さらに、「宮崎名物じゃりぱん」を購入したユーザーの22%以上が2回以上購入。リピーターの割合も男性が27%、女性が17.9%と男性のほうが高かった。またこの結果から、フェアによる一時的な目新しさだけでなく、実際に食べて「またすぐに購入したい」と思うほどユーザーの多くが商品自体に魅力を感じていると言えそうだ。
関東で特に人気
セブン-イレブン「菓子パンカテゴリ商品」全体と「宮崎名物じゃりぱん」の売れ行きを店舗エリア別に比較したところ、「宮崎名物じゃりぱん」は関東エリアで+4.3%と、他のエリアと比べて格段に人気が高かった。
また、同集計期間で購買ランキング1位だった「濃厚チョコクリーム ふんわりちぎりパン」と比べても、「宮崎名物じゃりぱん」は+3.3%と関東エリアでの人気の高さが際立った。
フェアの効果であわせ買いも多かった
IDレシートデータの集計結果から、「宮崎名物じゃりぱん」は「博多辛子明太子の明太フランス」「かしわめしおむすび」といった九州フェアで展開された他の商品との同時併売率が高いこともわかった。
新たに商品を企画・開発する際、どうしても同じジャンルの商品ばかりをチェックしがち。今回のような地域を軸としたフェアや前回紹介したFAMIMA BAKERYのようなシリーズで展開する際は、惣菜パンや生菓子、焼き菓子など、ジャンルにとらわれず、あわせ買いしやすい商品を企画・開発することで、高い相乗効果が得られそうだ。
店頭調査&実食調査でわかった!
もちろん、データを分析するだけでは売れる商品を開発できない。ミヨシトレンド研究所の所員たちが実際に現場を調査。さらに実食して感じたリアルな声を紹介する。
店頭で気づいたポイント
約30センチと大きいので、棚の中で目立っていた。値段を見たら120円と安くてさらに驚いた。食べ盛りの学生向けにも良さそう
宮崎出身なので、じゃりぱんにはなじみがある。地元で売られているものは切り込みが横に入っていてクリームも薄く塗られていた。一方セブン-イレブンの「宮崎名物じゃりぱん」は切り込みが上に入っていて、クリームもふんわり挟んであった。最初はじゃりぱんだと気付かなかったが、陳列された状態でクリームが見えるのは食欲をそそって良いと思う
実際に食べてみた感想
じゃりっとした砂糖の食感が楽しい。ひとくち目は甘さを強めに感じたが、あとに残る感じではなく、あっという間に食べてしまった
甘くておいしい!ただ、クリームの油脂感にちょっと罪悪感を感じた。今日はギルティなものを食べたいという日に特に良さそう
宮崎名物じゃりぱんの研究報告
昨今、テレビで特集が組まれるほどローカルパンは人気となっている。とはいえ、地元以外の人にとってなじみの薄い商品を大手コンビニが投入したことで、話題性があった。コロナ禍でなかなか遠出ができないからこそ、現地に行かなくても近くのコンビニで食べられる手軽さは大きな魅力。食べたことのない未知の味を食べてみたい、と多くの消費者の購買意欲を高めた。
パンそのものはシンプルで飽きのこない味に仕上げており、リピーターの獲得にも成功している。
関東エリアで特に高い人気については今回のデータだけでは確かなことが言えないが、地元から離れて都心で生活している人々が懐かしんで買う、というニーズもあるのかもしない。今後も大手コンビニでのローカルパンの展開に注目したい。
今回のオススメレシピはこちら!
以上の分析結果を踏まえて、ミヨシトレンド研究所では新たにパンのレシピを開発しました。ダウンロードは無料!そのままでも、アレンジしてもOK!会社やお店でお気軽にご活用ください。
ふわふわ牛乳パン
長野県のご当地パン。ボリューミーな見た目と、ふわふわとした食感が特徴。練り込み油脂に「マジカルソフトDX(1×6)」を使用することで、歯切れの良いソフトな食感になります。
前回の記事で「クリーム入りが男性人気の秘訣」と紹介しましたが、今回もクリームが印象的な一品なので、男性からも人気になるかもしれません。
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